FPVドローン株式会社では、室内や屋外、イベント会場などの多様なシチュエーションでの撮影に合わせて、様々なFPVドローン機体を使い分けています。
今回はそれぞれの機体の特徴と、それらを使用して完成した映像を紹介していきます。
5インチドローン
「FPVドローン」といった際に、一般的に指すことが多いのがこの5インチ自作ドローンです。
撮影の用途としては、アクロバティックな映像撮影を目的とした屋外での撮影で使われることが多いです。
私たちが運営するFPVドローンスクールにて習熟の主な目標にしている機体も、この5インチドローンです。その理由を説明していきます。
前提知識として、ドローンは一般的に機体重量の1/5程度の積載が可能といわれています。
5インチドローンが屋外の撮影でよく使われる理由は、総重量が約700gであり、その1/5である140g程度のGoProなどのアクションカメラを積載するのに適したサイズだからと言われています。
また、屋外というのも大きなポイントで、ドローンが軽量過ぎると風に煽られ、不安定な映像になってしまう場合が多いですが、5インチであればそれほど影響を受けずに飛行できます。
逆に、機体が重すぎるもしくは大きすぎると、高速での飛行や急転回を身軽にこなすことができません。5インチドローンはこの中間の、絶妙なサイズであるため、屋外で使用されることが多いです。
障害物を通過してそのタイムを競うドローンレースでも、広い屋外が競技場になることが多く、繊細で速い飛行が求められるため、5インチドローンは最適な機体だといえます。
自作機ということで、パーツごとに自分の好みのメーカーのものを購入し、カスタマイズできる事も楽しめるポイントです。ただ、完成機も販売されているので、必ずしも修理スキルやパーツの知識が必要なわけではありません。
5.8Ghz、5.7Ghz帯の電波を使用するため、無線免許を取得した上で、国交省に開局申請と機体登録を行って使用することができます。
弊社クリエイターが専属パイロットを務めるFormula Drift Japanの映像をご覧ください。
FDJでは、最高速度200kmを超える5インチドローンを使って高速で走る車に急接近しながら、スリルのある映像を撮影しています。
アンダー99ドローン
アンダー99とも呼ばれる自作ドローンは100g以下の軽量な機体で、主に室内の撮影に使用されます。
理由として、室内では飛行するスペースが狭く、物や人などを避ける必要があります。
5インチドローンはパワーも大きいので、万が一衝突すると大変危険ですが、アンダー99ドローンは小回りも効きますし、プラスチックの柔らかい素材でできているため、衝突しても対象物を傷つける心配が少ないです。
また、屋内は風がほとんどないので、先ほど5インチで述べたような風にあおられる心配もありません。
ただ、室内は遮蔽物も多いので、場所によってはVTXから送信されるゴーグル映像電波が途切れてしまうことがあるので、操縦する場所選びを工夫する必要があります。
撮影用のカメラは、GoProを軽量化した通称 “剥きpro”(naked pro)やRuncam Thumb Proのような超軽量アクションカメラを使用することが多いです。アクションカメラに関する記事はこちらをご覧ください。
もうひとつ、100gという数字には重要性があります。それは「航空法」というドローンの飛行に関して規制を設ける法律と密接に関係しています。
航空法では、飛行エリア、飛行方法に厳しいルールを設けているので、撮影を行う際にも飛行許可申請が必要になってきます。しかし、その規制は100g以上の無人航空機が対象になるため、100g以下の機体は該当しないことになります。
だからといって無制限に飛行ができるわけではないですが、管理者や警察、主催団体等が認めれば、例えば夜間での撮影や人が密集するようなイベントにおいても撮影が可能になる場合があります。
実際に、弊社では「ドローン祭プロジェクト」を立ち上げ、全国数カ所のお祭の撮影も行いました。
2023年7月に石川県能登町にて行われた「あばれ祭」の映像をご覧ください。
DJI FPV
DJI FPVは、大手DJI社から発売された完成機の商品で、サイズは5インチドローンと同じくらいです。
2.4Ghz帯の無線免許が不要な電波を使ってFPVゴーグルの映像を見ながら操縦する事が可能です。
3つのフライトモードがあり、マニュアルモードでは自作FPVドローンと同じような操縦が可能。ノーマルモードでは自動帰還機能や自動ホバリング機能も搭載された高度な設計です。
DJI FPVの性能や使用方法を詳しく説明した記事はこちらをご覧ください。
この機体はLEDライトが付いているという特徴もあるので、(許可を取った上での)夜間飛行にも向いている機体だといえます。
弊社クリエイターが撮影した、迫力のある花火映像をご覧ください。
MAVIC 3シリーズ
MAVIC 3シリーズは、同じくDJI社から発売されている商品です。
ゆったり、滑らかな俯瞰の画を撮影する際に適した機体です。ゴーグルは使用せずに、手元のモニターに転送されるFPV視点の映像を確認しながら操縦します。
MAVIC 3シリーズには様々な種類がありますが、弊社ではMAVIC 3 Cineを使用しています。
Cineは、ProResでの撮影に対応していることが特徴的です。通常、撮影した動画はmp4形式に圧縮されるため、黒つぶれが生じる事もあります。ProRes撮影の場合は、容量は大きくなるものの圧縮せずにそのままの繊細な映像を保存することができます。
また、1TBの内部ストレージがあるので、micro SDカードを使用する必要が無いという手軽さも大きな利点です。
2023年5月に発売されたMAVIC Proも高性能です。大きな特徴は通常・望遠・中望遠の3眼レンズになっていることで、奥行きのある映像が撮影できます。
MAVICなどのDJIシリーズは折りたたみが可能で、持ち運びがしやすいのも便利ですね。
熊本県の阿蘇山で撮影した映像をご覧ください。
3インチ、2.5インチドローン
3インチ、2.5インチの自作ドローンは、5インチとアンダー99の間を取ったようなサイズで、室内と屋外を兼用できる機体といえるでしょう。
5インチに比べ安価で、アンダー99に比べて飛行の安定感があることが魅力的です。
こちらは2.5インチドローンで撮影した室内で動画です。
マイクロドローン
マイクロドローンは、FPVドローンの中で最小サイズの機体です。
重量は約30gまたはそれ以下のものもあり、基本的に撮影用カメラを搭載することはできないので、撮影する際はゴーグル視点の映像をmicro SDで録画するケースがほとんどです。
ゴーグルの映像で4K撮影が可能な機体もありますが、レンズが狭域だったり暗かったりとどうしても映像の質は低くなる事が多いです。
マイクロドローンは5.8GHz帯の電波を使って、狭い場所も楽しく飛行できることが大きな特徴です。
マイクロドローンの大手メーカーはBETA FPVです。Happymodel社が提供するMOBULAシリーズも高品質です。
こちらは筆者が会議室内をマイクロドローンで飛行してみた際のゴーグル映像です。
7インチ、8インチドローン
7インチ、8インチは弊社が使用する中で最も大きいサイズの機体です。
画像右の機体は8インチサイズで、8つのプロペラが付いています。重量の重い一眼レフカメラを積載しています。
大きな特徴としては、5インチと比べて重いバッテリーを積載する事ができる点です。
バッテリーの容量を表し持続性に直結する「mAh」の数字は、5インチドローンの場合通常大きくても1800mAh程ですが、7インチ、8インチサイズでは4000mAhや5000mAhを超えるバッテリーを使うことができます。
Cレートという瞬間的な放電量が低いバッテリーを使用すると、20分以上といった長時間の飛行が可能になります。バッテリーに記載されている数字の見方、選び方についてはこちらの記事をご覧ください。
このような理由で7インチ、8インチドローンでは長距離飛行が可能になるので、島や山といった広範囲なロケーションでの撮影に向いているといえるでしょう。
終わりに
今回は、様々な機体の長所あるいは短所を詳しく紹介してきました。併せて、これらの機体を使って撮影した映像も楽しんでいただけたかなと思います。
弊社では、熟練クリエイターが様々なシチュエーションでのFPVドローンの撮影依頼を引き受けています。
テレビ番組、プロモーション映像、ライブや祭などのイベント撮影、ミュージックビデオ撮影等の幅広いジャンルでの実績と経験がありますので、FPVドローン撮影者をお探しでしたら、問い合わせフォームまでご気軽にご連絡ください。
FPVドローンスクールに興味がある方はこちらのページより無料説明会のご予約をお待ちしています。