FPV(First Person View:一人称視点)ドローン撮影は、ドローンに搭載されたカメラの映像をリアルタイムで見ながら操縦する撮影スタイルであり、その臨場感あふれる映像は、視聴者に強い没入感を与えます。FPVドローンは、その特性上、高速でダイナミックな飛行をしながら、従来の撮影方法では不可能だった映像を捉えることができます。
このFPVドローン撮影において、映像のクオリティを大きく左右する重要な要素の一つが、「アクションカメラ」の活用です。アクションカメラは、小型軽量でありながら、高画質な映像を記録できるため、FPVドローンに搭載して使用するのに非常に適しています。
アクションカメラを使用することで、FPVドローンは、より多彩な映像表現を実現することが可能になります。例えば、機体の動きと連動した迫力のある映像、風景の美しさを際立たせる高精細な映像、360度カメラによる全方位の映像など、アクションカメラの種類や設定によって、様々な表現を楽しむことができます。
この記事では、FPVドローン撮影に最適なアクションカメラの選び方から、具体的な使い方、撮影時の注意点、そして映像のクオリティを高めるためのテクニックまで、詳しく解説していきます。この記事を通して、あなたのアクションカメラとFPVドローン撮影の知識とスキルが向上し、より素晴らしい映像作品を生み出すことができるようになることを願っています。
アクションカメラとは?
アクションカメラとは、スポーツやアウトドアなどのアクティブなシーンでの使用を想定して設計された、小型軽量かつ高耐久なカメラのことです。従来のビデオカメラと比較して、アクションカメラは、そのコンパクトさ、堅牢さ、そして手軽さから、多くのユーザーに支持されています。
アクションカメラの最大の特徴は、小型軽量であることです。これにより、ヘルメットや胸、自転車など、様々な場所に取り付けて、ハンズフリーで撮影することができます。また、アクションカメラは、耐衝撃性や防水性に優れているモデルが多く、激しい動きや過酷な環境下でも安心して使用することができます。
アクションカメラは、スポーツ記録、旅行、Vlog撮影、水中撮影など、非常に幅広い用途で使用されています。近年では、ドローンに搭載して空撮を行うユーザーも増えており、アクションカメラは、空撮映像の新たな可能性を切り開いています。
FPVドローン撮影において、アクションカメラは、主に高画質な映像を記録するために使用されます。FPVドローンには、通常、機体制御用の小型カメラ(FPVカメラ)が搭載されていますが、このカメラの映像は、操縦者がリアルタイムで映像を確認しながらドローンを操縦するためのものであり、記録される映像の画質は、アクションカメラに比べて劣るのが一般的です。
そのため、美しい映像を記録したい場合は、アクションカメラを別途搭載し、FPVカメラとは別に映像を記録する必要があります。
代表的なアクションカメラメーカー
アクションカメラ市場には、様々なメーカーが参入していますが、その中でも特に有名なのが、GoPro、DJI、Insta360の3社です。
- GoPro(ゴープロ) GoProは、アクションカメラのパイオニアとして知られており、その高い画質、優れた手ブレ補正機能、そして豊富なアクセサリーは、多くのユーザーから支持されています。GoProは、最新モデルとして、HEROシリーズを展開しており、各モデルは、4Kや5Kといった高解像度での撮影、HyperSmoothと呼ばれる強力な手ブレ補正機能、そして様々な撮影モードを搭載しています。 GoProは、FPVドローンパイロットからの信頼も厚く、その安定した性能は、FPVドローン撮影に最適です。

- DJI ドローンメーカーとして有名なDJIも、Osmo Actionシリーズとして、アクションカメラ市場に参入しています。DJIのアクションカメラは、滑らかな映像と直感的な操作性が特徴であり、ドローンとの連携機能も備えています。 DJIは、Osmo Actionシリーズにおいて、RockSteadyと呼ばれる独自の手ブレ補正機能や、HDR動画撮影機能などを搭載し、高画質な映像を記録することができます。

- Insta360 Insta360は、主に360度カメラで知られていますが、通常のアクションカメラにも力を入れています。Insta360のカメラは、モジュール式の設計が特徴であり、レンズやバッテリーなどを交換することで、様々な撮影ニーズに対応することができます。 Insta360は、Insta360 ONE RやInsta360 ONE RSなどのモデルにおいて、FlowStateと呼ばれる強力な手ブレ補正機能や、5.7Kの高解像度360度撮影機能などを搭載し、革新的な映像表現を可能にしています。

これらの3社以外にも、様々なメーカーがアクションカメラを製造しており、価格帯や機能も多岐にわたります。アクションカメラを選ぶ際には、撮影用途、必要な機能、予算などを考慮し、自分に最適なモデルを選択することが重要です。
FPVドローンでのアクションカメラの使い方
FPVドローンでアクションカメラを使用する場合、アクションカメラを機体に取り付ける必要があります。
アクションカメラの取り付け方法は、機体の形状や大きさ、そしてアクションカメラの種類によって異なりますが、一般的には、機体の上部や、機体の重心に近いバランスの取れた位置に取り付けるのが良いとされています。
アクションカメラを取り付ける際には、「マウント」と呼ばれる専用のホルダーを使用します。マウントには、様々な種類があり、機体の形状や取り付けたい場所に合わせて、最適なマウントを選択する必要があります。
アクションカメラを機体に取り付ける際には、機体のバランスを崩さないように注意することが重要です。アクションカメラの重さや取り付け位置によっては、機体の飛行性能に影響が出る場合があります。
FPVドローンには、通常、機体制御用のFPVカメラが搭載されています。アクションカメラは、FPVカメラとは別に、高画質な映像を記録するために使用します。FPVカメラの映像は、操縦者がリアルタイムで映像を確認しながらドローンを操縦するためのものであり、記録される映像の画質は、アクションカメラに比べて劣るのが一般的です。
アクションカメラで撮影する際には、撮影目的に合わせて、適切な設定を行うことが重要です。FPVドローン撮影では、一般的に、高フレームレート(60fps、120fpsなど)、高解像度(4Kなど)、ワイドな画角、そしてシャッタースピード固定などの設定が重視されます。
高フレームレートで撮影することで、滑らかな映像を記録することができ、高速でダイナミックな飛行シーンを美しく捉えることができます。高解像度で撮影することで、より詳細な情報を記録することができ、映像の編集や加工の自由度が高まります。
ワイドな画角で撮影することで、広い範囲の情報を記録することができ、臨場感あふれる映像を制作することができます。シャッタースピードを固定することで、映像のブレを一定に保ち、自然なモーションブラーを表現することができます。
アクションカメラで撮影する際に気をつけたいポイント
アクションカメラで撮影する際には、いくつかの注意点があります。
- 録画ボタンの押し忘れ防止策 FPVドローンは、バッテリーの持ち時間が限られているため、1フライトが数分ということも珍しくありません。そのため、貴重な飛行チャンスで録画を忘れてしまうと、大きな損失となります。 録画ボタンの押し忘れを防ぐためには、フライト前に必ず録画状態を確認する習慣を身につけることが重要です。例えば、「録画スタート→機体起動」というルーティンを作るなどの対策が有効です。
- カメラの角度(チルト角)の調整方法と重要性 FPVドローンは、前傾姿勢で飛行することが多いため、アクションカメラも上向きに取り付ける必要があります。カメラの角度(チルト角)が適切でないと、映像に地面しか映らなかったり、逆に空ばかりになったりしてしまいます。 一般的な目安としては、ゆっくり目のシネマティック飛行の場合は15〜25度、高速フライトやアクロバット飛行の場合は30〜45度といった角度がありますが、飛行速度や撮影目的に応じて調整する必要があります。 カメラの角度は、1〜2度違うだけで映像の印象が大きく変わるため、事前にテスト撮影を行い、最適な角度を見つけることが重要です。
- バッテリー管理と電源供給 アクションカメラのバッテリー持続時間は、機種や設定によって異なります。長時間の撮影を行う場合は、予備のバッテリーを用意するか、外部電源から給電する方法を検討する必要があります。
- SDカードの選び方と管理 アクションカメラで高画質な映像を記録するためには、高速な書き込み速度を持つSDカードが必要です。また、SDカードの容量にも注意し、撮影に必要な容量を確保する必要があります。 SDカードは、定期的にバックアップを行い、紛失や故障に備えることが重要です。
- 機体トラブル時のリスク軽減策 FPVドローンは、墜落や衝突などのトラブルが発生する可能性があります。アクションカメラは精密機器であるため、機体トラブルが発生した場合、故障するリスクがあります。 機体トラブル時のリスクを軽減するためには、アクションカメラを保護するためのケースやマウントを使用したり、保険に加入したりするなどの対策を検討する必要があります。
NDフィルターの活用
アクションカメラを使用する場合、NDフィルターの活用も重要なポイントです。
NDフィルターとは、レンズに入る光の量を減らすフィルターのことで、サングラスのように、強い光を遮り、適切な露出を得るために使用します。
特に、晴天時の屋外撮影では、光量が非常に多いため、NDフィルターを使用しないと、映像が白飛びしたり、露出オーバーになったりする可能性があります。
NDフィルターを使用することで、シャッタースピードを適切に保ち、自然なモーションブラー(動きの滑らかさ)を表現することができます。
NDフィルターには、ND4、ND8、ND16、ND32など、光を減少させる量によって様々な種類があります。ND4は光量を1/4に、ND8は1/8に、ND16は1/16に、ND32は1/32に減少させます。
撮影シーンの明るさに合わせて、適切な濃度のNDフィルターを選択することが重要です。
例えば、少し明るい日陰や曇天の場合はND8、晴れの日の日常撮影ではND16、真夏の快晴時にはND32などを使用します。
GoProシリーズなど、一部のアクションカメラには、専用のNDフィルターセットが用意されており、画質劣化を防ぎつつ、撮影クオリティを大幅に向上させることができます。
NDフィルターを使用する際には、いくつかの注意点があります。
- NDフィルターを取り付けた後に、画角(フレーミング)が変わる場合があるので、微調整を行う必要があります。
- 安価すぎるNDフィルターは、色かぶりや周辺光量落ちの原因になることがあるため、ある程度信頼できるメーカーの製品を選ぶことが重要です。
特に、滑らかなシネマティック映像を撮影したい場合は、NDフィルターの有無で仕上がりが大きく変わってきます。

アクションカメラのメンテナンスと保管
アクションカメラは、精密機器であるため、適切にメンテナンスと保管を行うことで、長く良い状態を保つことができます。
アクションカメラの清掃は、柔らかい布やブラシなどを使用して、優しくホコリや汚れを取り除くことが基本です。レンズに指紋や油汚れが付着した場合は、レンズクリーナーとレンズクリーニングペーパーを使用して、円を描くように軽く拭き取ります。
アクションカメラを保管する際には、傷や衝撃から守るために、専用のケースやポーチに入れることをおすすめします。また、高温多湿の場所や直射日光の当たる場所は避け、風通しの良い場所に保管することが重要です。
アクションカメラを長く使用するためには、丁寧な扱いと適切なメンテナンスが不可欠です。
まとめ
FPVドローン撮影において、アクションカメラは、映像表現の可能性を大きく広げるための重要なツールです。
アクションカメラを選ぶ際には、撮影用途、必要な機能、予算などを考慮し、自分に最適なモデルを選択することが重要です。
アクションカメラを使用する際には、録画忘れやカメラの角度調整、バッテリー管理、SDカードの管理などに注意し、NDフィルターを効果的に活用することで、より高品質な映像を撮影することができます。
この記事を参考に、あなたもアクションカメラとFPVドローンを駆使して、最高の映像作品を制作してください。