近年、FPVドローンの軍事利用が急速に進んでいます。ウクライナ戦争での活躍は記憶に新しく、その有用性は世界中で注目されています。日本においても、自衛隊がFPVドローンの導入を本格的に検討し始めているとの噂があり、防衛戦略に大きな変革をもたらす可能性を秘めています。

軍事利用におけるFPVドローンの活用

軍事利用として、世界中でFPVドローンを以下の分野で活用する動きが出ています。

偵察・監視: 離島や沿岸部の監視、災害時の状況把握を行う。

警戒・監視: 不審な船舶や航空機の監視、国境警備などを行う。

標的: 敵のレーダー基地や通信施設など、特定の目標を標的とする。

市街地戦闘:都市部での戦闘では、建物や障害物が多く、従来の偵察手段では十分な情報収集が困難です。FPVドローンは、建物の内部や狭い路地を飛行し、敵の配置や動向を把握することができます。敵の潜伏場所や狙撃手を特定し、迅速な対応を可能にします。

離島防衛:FPVドローンの活用が不可欠であると考えられています。
広大な海域や複雑な地形を持つ離島では、従来、カメラやセンサーなどを用いた監視システムや監視用自動飛行ドローンを用いて防衛を行っておりました。近年では、FPVドローンを用いることで、従来ではカバーしきれなかった隅々まで柔軟に対応できるようになってきたとも言われています。中でも、AI技術を搭載した自律飛行型FPVドローンの開発が進められており、将来の活躍が期待されています。

重要施設防護:重要インフラ、原子力発電所などの重要施設に対するテロ攻撃や破壊活動の監視、警戒にFPVドローンは有効です。
警備員が立ち入れない危険な場所や、広範囲なエリアの監視を効率的に行うことができます。

最新動向

防衛省の取り組み: 防衛省は、FPVドローンの導入に向けて、実証実験や研究開発を進めています。2023年度には、FPVドローンを用いた離島防衛の実証実験を実施し、その有効性を検証しました。

国産FPVドローンの開発: FPVドローン株式会社を始め、日本国内の企業もFPVドローンの開発に着手してきています。国産のFPVドローンは、自衛隊の要求に合わせたカスタマイズが可能であり、情報漏洩のリスクも低減できることから、各方面で需要が高まっております。

諸外国の動向: ウクライナ戦争でのFPVドローンの活躍を受け、各国が軍事利用を加速させています。アメリカや中国も、FPVドローンの開発や導入を進めており、日本もこれらの動きにならい、FPVドローンの導入を考えているという噂があります。

FPVドローンにおける自衛隊の最新情報

Random Japan Academyによると、自衛隊は2026年までに最初のFPVドローンとして310機ものユニットを購入する予定とのことです。具体的な機種はまだ決まっていないそうだが、イスラエルとオーストラリアのドローンが検討されているとのこと。310機はあくまでも最初の一群であり、主に運用能力のテストと切望されているドローン操縦者の訓練を目的としているとのこと。国家防衛としての310機は少ないように感じるかもしれません。ただ、テスト購入とも捉えられるこの取り組みは自衛隊にとっては稀有な投資であり、FPVドローンの重要性が広まってきた証拠ではないかと言えるでしょう。

国家プロジェクトとしてのFPVドローンの未来は明るいと言えるでしょう。

参照:https://therandomjapan.com/fpv-drone/

課題と展望

FPVドローンの導入には、以下のような課題もあります。

電波妨害対策:敵の電波妨害によって、FPVドローンの制御が妨害される可能性があります。電波妨害対策技術の開発や、代替の通信手段の確保が必要です。GPS妨害(スプーフィング)対策も重要です。

操縦者の育成:FPVドローンを効果的に運用するためには、熟練した操縦者の育成が不可欠です。
操縦技術だけでなく、戦術や状況判断能力も必要です。
シミュレーターを活用した訓練や、実機を用いた訓練を充実させる必要があります。

法整備:FPVドローンの軍事利用に関する法整備が、まだ十分に進んでいません。国際法や国内法との整合性を図りながら、適切な法整備を進める必要があります。
特に、武器としてのFPVドローンの使用に関する倫理的な議論が必要です。

技術的課題:バッテリーの問題、航続距離、耐環境性能など改善すべき課題は多いです。
AIによる目標認識、追尾、自律飛行などの技術も、まだまだ発展の余地があります。

コストの問題:FPVドローンは比較的安価ですが、大量導入や高性能な機体の開発には、それなりのコストがかかります。コストパフォーマンスを考慮した導入計画が必要です。
これらの課題を克服するためには、技術開発、人材育成、法整備など、多岐にわたる取り組みが必要です。

FPVドローンがもたらす変革

FPVドローンは、自衛隊の防衛能力を飛躍的に向上させる可能性を秘めています。しかし、その一方で、新たな脅威となる可能性も否定できません。日本は、FPVドローンの軍事利用に関する議論を深め、適切な安全保障政策を構築する必要があります。

最新の情報は、防衛省・自衛隊のウェブサイトや、軍事専門ニュースサイト、ドローン関連ニュースサイトなどで確認できます。これらの情報を参考に、FPVドローンと自衛隊の今後の動向に注目していきましょう。

TOP