FPVドローンを飛行させるためには、フライトコントローラーのファームウェアであるBetaflightを適切に設定することが不可欠です。​本記事では、Betaflightのセットアップから基本設定、ポート設定、受信機やVTXの設定、フェイルセーフ、プリセット、モード、モーター、OSD設定まで、初飛行に必要な各ステップを詳しく解説します。​これらの設定を順に行うことで、安全かつ快適な飛行が可能となります。

セットアップ

Betaflight Configuratorのインストール

まず、パソコンにBetaflight Configuratorをインストールします。​これは、Betaflightの公式サイトからダウンロードできます。​インストール後、ドローンのフライトコントローラー(FC)をUSBケーブルでパソコンに接続し、Configuratorを起動します。​画面右上の「接続」ボタンをクリックすると、FCと接続され、各種設定が可能となります。

初期バックアップ

設定を変更する前に、現在の設定をバックアップしておくことをおすすめします。​「CLI」タブで「dump」または「diff all」と入力し、表示された内容を保存する方法などもあります。​これにより、万が一の際に設定を復元することが可能です。

水平キャリブレーション

ドローンを平らな場所に置き、「セットアップ」タブで「加速度計のキャリブレーション」を実行します。​これにより、飛行中の安定性が向上します。

基本設定

機体情報の確認と設定

「基本設定」タブで、機体の向きやセンサーの有無を確認します。​必要に応じて、機体の向きを設定し、使用するセンサー(例えば、加速度計や気圧計)を有効にします。

 ポート設定

UARTポートの設定

「ポート」タブで、使用するUARTポートを設定します。​例えば、受信機(RX)やVTX(ビデオトランスミッター)を接続するポートを有効にします。​各デバイスがどのUARTポートに接続されているかを確認し、適切に設定することが重要です。
例T2,R2=PORT2 T4,R4=PORT4

受信機の設定

受信機の接続

受信機をフライトコントローラーに接続します。​一般的に、受信機からの信号線(S.BUSやDSMなど)、電源(5V)、グラウンドの3本を接続します。(ELRSのように電源(5V)、グラウンドに信号線2本あるものもあります)​フライトコントローラーの基板図を参照し、正しい端子にハンダ付けします。

受信機のプロトコル設定

「基本設定」タブで、受信機のプロトコルを設定します。​使用する受信機に応じて、S.BUS、DSM、IBUSなどを選択します。​設定後、受信機と送信機(プロポ)のバインドを行い、通信が確立されていることを確認します。

プリセットの適用

Betaflightには、さまざまなプリセットが用意されており、VTXテーブル、機体の特性や用途に応じた設定を簡単に適用できます。プリセットは「Presets」タブから選択可能で、機体に接続しているVTXを検索して該当するVTXテーブルを読み込んで使用できるようにします。その後「保存(Save)」を忘れずに行ってください。

VTX(ビデオトランスミッター)の設定

 VTXの接続

VTXをフライトコントローラーに接続します。​電源、グラウンド、映像信号線を適切に接続し、必要に応じてスマートオーディオやIRC Trampなどの制御線も接続します。

VTXテーブルの設定

Betaflight 4.1以降では、VTXテーブルの設定が必要です。​使用するVTXの仕様に基づき、周波数帯や出力レベルを設定します。​

フェイルセーフの設定

フェイルセーフとは、通信が途絶えた際にドローンを安全に制御するための設定です。​「フェイルセーフ」タブで、通信が失われた場合の動作(例えば、モーター停止や自動着陸など自動着陸はGPSが必要)を設定します。​これにより、予期せぬ事態でも安全を確保できます。​

モードの設定

モードの設定は、送信機(プロポ)のスイッチに機能を割り当てるステップです。Betaflightの「Modes」タブで行います。

よく使う基本モード:

  • Arm:機体のモーターを回転させ、飛行を可能にするモード。安全のため必須。
  • Angle:自動水平維持モード。初心者や安定飛行がしたいときに。
  • Horizon:Angleモードにアクロバット機能を追加。軽いフリップなどが可能。
  • Acro(Rate):完全マニュアルモード。慣れた人向けで自由度が高い。
  • Beep(Beeper):ブザー鳴動。機体が草むらなどで見失ったときに便利。

スイッチは送信機のチャンネルに対応しており、モードを割り当てる際はスライダーで有効範囲を設定します。スイッチを切り替えながらプレビュー画面を見て、狙った通りに反応しているか確認しましょう。

モーターのチェック

モーターの設定とテストは、「Motors」タブで行います。

チェック前の注意:

  • 必ずプロペラを外してからモーターを動かすようにしてください。
  • プロペラが付いたままだと怪我や破損の原因になります。

「リスクを容認し、プロペラは全て外しました」にチェックを入れることで、モーターの動作確認ができるようになります。スライダーで個別モーターの回転をテストし、スムーズに回るか・異音がないか・正しい回転方向かを確認します。

回転方向が逆の場合、BLHeliSuiteなどを使ってESC設定を変更するか、モーター線のうち2本を入れ替えることで修正できます。

OSD(オンスクリーンディスプレイ)設定

FPVドローンにとって、OSDは飛行中の視覚的な「計器盤」です。「OSD」タブでは、画面上に表示される情報を自由にレイアウトできます。

表示できる主な情報:

  • 電圧・電流・消費mAh
  • 飛行時間
  • モード(Arm、Angleなど)
  • RSSI(電波強度)
  • フェイルセーフの警告
  • VTX出力
  • クラフト名やカスタムテキスト

ドラッグ&ドロップで配置を変えられ、不要な項目は非表示にすることも可能。表示が多すぎると視界を邪魔するため、最低限の情報に絞るのが一般的です。

また、機体に搭載されたVTXやフライトコントローラーの性能によって、表示できる項目数や精度が異なる場合があるので注意してください。

まとめ:これで初飛行の準備完了!

以上が、BetaflightでFPVドローンを「最低限飛ばせる」状態にするための設定ステップです。

おさらいチェックリスト

  • [✔] セットアップ完了(バックアップ・キャリブ)
  • [✔] 機体の基本設定と回転方向の確認
  • [✔] UARTポート設定
  • [✔] 受信機接続と通信確認
  • [✔] VTXの設定と出力管理
  • [✔] フェイルセーフ設定
  • [✔] プリセット適用 or PID/フィルター調整
  • [✔] モード割当
  • [✔] モーター回転テスト(プロペラなし!)
  • [✔] OSD情報の最適化

この流れでセットアップを進めれば、安心してFPVドローンの初飛行を迎えられます。飛ばしてみて不安定さを感じた場合は、プリセットの見直しやPID調整を少しずつ試してみましょう。

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